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デザイン業界の歩き方

若手デザイナーの為のライフハックメディア!デザイン業界で楽しく働くヒントをお届けします^^

『デザインはアートでは無い』という勘違い!?

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「デザインはアートでは無い」

「デザインとアートの違いを考えよう」

 

僕が学生だった2000年代の初め頃には、良くこの言葉を耳にしました。きっと僕と同じ経験をしているデザイナーさんも多い事でしょう。そして、各々感じる事が多い言葉だと思います。あなたはどう考えていますか?

 

今日は、一つの問題提起をしようと思います。それは、デザインとアートでは無いと決めつけているデザイナーは時代遅れになっているんじゃ無いか?というものです。

 

 

こう言うと、多くの先輩方から批判を受けそうですが、ぼく自身、自らに自戒の意味を込めて感じている事をまとめています。日々の仕事では理屈でデザインするタイプなので、デザインはアートでは無いと言い切って貰えると安心する人です。

 

でも、最近。デザインを取り巻く環境は大きく変化しています。

 

先進国ではモノが溢れ、人々のモノ離れが進み。デザインツールの発達が著しく、一般の人でもデザイン(スタイリング)できる環境が整いつつあります。ネットの検索ツールも高性能になり、似たデザインを世界中から一瞬で見つける事もできます。

 

デザイナーに求められる事も拡大していき、只見た目をデザインするだけでは済みません。ブランディング、マーケティング、データ解析などと兼務しているデザイナーさんも多いでしょう。当然ながら、2000年代初めとは全く異なる状況です。

 

デザインとアートの違いで良く言われること

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デザインとは

他者のニーズに応える事

商品意図をみる人に正確に伝える

経済活動の一部

 

アートとは

自分の感情を表現する事

作品の解釈はみる人に委ねる

経済活動ではなくとも成立する

 

ぼくが今まで15年ほどデザインに関わってきた中で、上記の様にデザインとアートの違いを対極的に説明するケースが多々見受けられました。

 

「他者目線を尊重した創作=デザイン、自己完結の表現=アート」

「デザインとは、 課題の発見と問題解決である」と説明される場合も多いですね。

 

しかし、現状。

経済活動の一部、特に商業デザインの領域では既に大量の商品で溢れ、商品開発のスピードもどんどん加速し、早急に解決すべき問題も無いまま、カスタマーの購買意欲をドライブする為にデザインが利用されるケースも多々有ります。

 

これは資本主義経済という拡大経済を良しとするシステムの中で経済活動をする限りはより一層加速していくでしょう。

 

それ自体に良し悪しはありませんが、カスタマーの購買意欲をドライブさせる為のデザインは消耗戦になりがちなので、デザイナーとしては余り嬉しくない状況かもしれませんね。

 

成功するデザインの二極化

そして今、デザインの二極化が進んでいます。

 

一つはグローバルに向けた効率的なデザイン。

テクノロジーの発達で世界の距離が縮まっているので、より効率的により多くのカスタマーにリーチする為のデザインです。これはどうやら、誰にも嫌われない便利なツールとしてデザインするのが定石となりつつ有るようです。ノームコア(究極の普通:ノーマル+ハードコアの造語)というトレンドワードがそれを示していますね。

 

当然、業務も商品数も効率化されているので、大きな経済規模の割にはデザイナーの数は減っていくかもしれません。恐らく企業も統合合併を進めていくでしょう。

 

 

もう一つは今まで経済活動として成り立たなかった様な、ニッチな市場でのデザインです。

 

クラウドファンディングや、ECサイトでの商品販売、3Dプリンターの発達で低コストで製造業に進出できるなど、経済活動のシステムの変化、進化によって脱大量生産の動きも強まっています。こちらは今後、様々なブランドやジャンルが生まれると思うので、デザイナーが求められる環境も増えるでしょう。

 

2016年グッドデザイン賞を受賞したWHILLの電動車イスやのexiiiの電動義手など、ハンディーキャップを背負ったマイノリティーの方々に向けたデザインは今後、益々発展すると思います。(発展して欲しい)凄く良い事ですよね。購買意欲を刺激するデザインではなく、問題の発見と解決にデザインが貢献できる分野でもあるはずです。

 

そして、このニッチな市場では、創り手の作品への強い思いが強力な武器になるケースもあります。独特な雰囲気のメディア運営やハンドメイドデザインの販売など、アートと定義しても良い程に濃い世界でも十分生計を立てるだけの収益をあげる事も可能になっています。今の時代、デザイナーが自分の強い感情を表現すれば、一部の人は激しく共感してくれるのかもしれませんね。

 

今後大企業の一部もニッチ市場に活路を見出す?

ソニーもFirstFlightというECサイトとクラウドファンディングを合わせた様な活動に力を入れています。ここでは「1000人で1000億円の市場を作る」という今までの大量生産ではなく、「10人で10億円の市場を作る」ことを目指しているそうです。それが出来れば商品開発の自由度は格段に増えるはずですね。

 

「創り手の想い(エゴ)」からものづくりをスタートできるチャンスでもあります。(当然、市場調査は最低限行われるはずですが)

 

この動きは、少なからず今ある大量生産、大量消費時代の限界を感じているからでしょう。

 

まとめ

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デザインはアートでは無い。デザインとアートは全く異なるモノだ。という認識は今もデザイン業界の主流でしょう。

 

しかし、本当に世の中の価値観は大きく変化して来ています。そんな中、便利なツールはもう十分。多少不便でも創り手の強い思いが感じられるデザインに心惹かれるという人も増えていると感じます。

 

これからデザイナーには、他者のニーズを読み、問題の発見と解決を提供するスキルを持つと同時に、アーティストと同じように自分の気持ちを素直に表現するスキルとメンタリティーを持つ事。そして、それが可能な環境を開拓する事が重要になってくるのかもしれませんね。

 

特に、長いことデザイン業界でカスタマーやクライアントのニーズを叶える事に集中していると、ついつい物分かりの良い大人な対応が身に付いてしまうので、その打算的な思考や行為が、目の肥えたユーザーを遠ざけてしまう結果に繋がりかねないという危惧もあります。さらに言うと、最近は「物分かりの良いデザイナー」の方が「強烈な自己表現を持ったアーティストよりのデザイナー」より、圧倒的に多くなっているとも感じます。

 

そういう意味で、「デザインとアートは別物だ!」と決めつけるのでは無く、使い分け、良いところ取りをする意識の方が大切なのでは?チャンスが広がるのでは?と感じる今日この頃です。

 

あなたはどう思うでしょうか?