工業(プロダクト)デザイナーの将来性は?
どんなキャリアパス、キャリアアップの種類があるの?
就職する際、絶対気になりますよね?
また転職する際も真剣に考えるのではないでしょうか?
今日は僕が知っている限りの情報をまとめたいと思います。
デザイナーになって10年。30歳を過ぎて大学のデザイン科同窓会に行くと、一部の人は転職していたり、うまい具合にキャリアを積んでいる人がいたり、大きなチャレンジをしている人がいたり。。。凄く刺激的でした^^(それがこの記事を書くキッカケです)
さあ、どんなキャリアパスが想像できるでしょうか?
いったんココで考えてみて下さい。
可能性の選択肢は何個位、そしてどれだけ具体的に考えられそうですか?
「自分の職業の可能性・将来性を幅広く考えられる」ってメチャメチャ重要な事だと思います。特に20代、30代だったら尚更ですよね。
この問いに対する答えで「自分の将来の可能性」を定義される。
そんな恐ろしい問いでもあると思います^^;
クラーク博士のこの言葉がピッタリですね↓
『boys be ambitious!』…青年よ大志を抱け!
企業内での昇進(同業種の転職含む)
これは一番多いケースだと思います。
一つの業種の中でスキルアップしてデザイナーとして成長していくパターンですね。
転職をしても同業種の場合、大きな視点でみれば業務自体に大した差はないでしょう。
企業内で専門性(自分の武器)を磨いて信頼を積み重ねる。
その先に「昇進」や「キャリアアップとしての転職」があります。
これは特に説明せずともイメージできると思います。
そして、お給料について。参考までに。。。
「現在日本の大手企業だと30代後半~40代前半でマネージャー層になる人が多く、そのタイミングで年収は千を超えてくる」との噂です。(海外の起業と比べると薄給みたいですね)
また、企業から貰うお給料は「その人の実力」に起因する部分より「事業規模」に起因する傾向があるので『給料=自分の実力』と捉えるのは少々危険な考えかたかもしれません。
現状の日本では「正社員というだけで優遇されすぎている」とも思うので、何処かのタイミングで大きく風向きが変わる可能性も考えておいた方が良いでしょう。(企業におんぶに抱っこでは定年まで働けない可能性が高いかも^^;?)
起業パターン1:【 BtoB】タイプ
「起業する」と言っても実はいろいろなタイプがあります。
大きく分けるとBtoBタイプとBtoCタイプですね。
(BtoB=企業が企業を対象に取引をする。BtoC=企業が消費者を対象に取引するもの)
BtoBタイプの起業として一番に考えられるのは「自分のデザイン事務所を設立する」という事でしょう。
最近ではやはり
nendoの佐藤オオキさんがプロダクトデザイン業界では有名ですね。
当然の如く、大御所の方々も皆さん自身のデザイン事務所を構えていますね。
特徴は「代表デザイナー自身のブランド価値」で企業と手を組んで製品を作るというビジネススタイルかと思います。
スタイリングだけではなくコンサルティングの価値もメチャメチャ高いです。寧ろ企業のプロセスや価値観を変える事ができて、優れたビジネスモデルを提案するという事がこのタイプの本質の様な気がします。
若くしてデザイン事務所を設立する人は、大きなコンペで有名なデザイン賞を受賞している人が多い気がします。受賞経験が一つのキッカケになるのでしょう。
有名なデザイナーさんのデザイン事務所も人材募集をしている事が多いので、興味がある方はチェックしてみると良いと思います。
起業パターン2:スタートアップ
こっちは主にBtoCタイプ。いわゆるスタートアップというものです。
近年ではクラウドファンディングで資金を集めやすくなったり、3Dプリンターの発達などの恩恵もあり、今まで難しかったハードな部分からのプロダクト開発をできる環境が整ってきたのでしょう。
良い傾向ですね^^
参戦しているスタートアップも年々増えてきていて、今かなり熱い分野でもあります。
グッドデザイン大賞2015を受賞された【WHILL】↓
3Dプリンタを活用することにより製造コストを大きく抑えたメッチャカッコいい電動義手 [HACKberry]を作っている【exiii exiii】↓
■exiii exiii
などなど。
現在事業をスケールさせる為に様々なイベントを行っているスタートアップもあるので足を運んでみては如何でしょうか?
(ちなみにこの二つは創業メンバーがデザイナー、エンジニアとして大手メーカーに数年務めた後、退職して始めたスタートアップを立ち上げた。という共通点もあります)
またBtoCの起業話として、スチームトースターが大成功した
バルミューダ株式会社代表の寺尾さんと糸井さんの対談記事もとっても面白い起業のエピソードなので是非是非読んでみて下さい^^↓
海外で働く

photo credit: Cruising via photopin (license)
企業の海外スタジオに出向したり、現地でデザイナーとして働いたりと様々なパーターンがあると思いますがこれも最近どんどんハードルが下がって来ているように感じます。有名な都市であればSNS上で日本人コミュニティーが形成されていたりしますね。
ぼくの中ではドイツ・ベルリンが今熱いです^^
職種は違いますが、イラストレーターの高田ゲンキさんやブロガーのwasabiさん、テックライターの佐藤ゆきさんなどが積極的に情報を発信されています↓
そして昨年(2015年)はUIデザインで有名なデザイン会社
Goodpatchさんもベルリンに進出したみたいですね。ドイツ・ベルリンはスタートアップやフリーランスのクリエイターさん達にとってとても活動しやすい環境のようです。そして、日本人はビザも優遇されて移住しやすいみたい。
海外移住に興味ある方はまずは上記お三方のブログを見てみる事をおススメします。
とても面白いですよ^^
大学、専門学校の教員
企業勤めを経て大学の教授・准教授になる人も多いですよね?
ぼく個人的にはもしあなたがプロダクトデザイナーとして働いているのなら、東京大学教授の山中俊二さんのツイッターをフォローしてみては如何でしょうか。
日々色々な気づきを与えてくれるつぶやきをしてくれていますよ。ありがたや~。
■企業に役職定年まで勤めた後に教授職に就く。
■30歳位から母校に企業から非常勤として講義をしに行く→准教授になる。
この様なケースが目立つ気がします。
勿論、大学院を卒業してそのまま大学に残る人もいますよね。
フリーランスデザイナー

グラフィックデザイナーやwebデザイナー、イラストレーターなど「フリーランス」で働いている人は結構いると思います。
でもプロダクトデザイナーでフリーランスの人をほとんど見たことがないです^^;
(コワーキングスペースで一度、一人だけあった事があるだけ)
たまたま僕の守備範囲が狭いだけかもしれませんが・・・
実際どうなのでしょう?
個人的なイメージではフリーランスは相当少ないorグラフィックなど他の分野と兼業で活動されている。という感じ。
「ランサーズ」や「クラウドワークス」などのクラウドソーシングサービスの案件を見ても、他の職種と比べてかなり少ない数の案件しかありません。
パラレルキャリア or 他業種への転職

photo credit: Bruce Lee The change is from inner to outer. We start by dissolving our attitude not by altering outer conditions via photopin (license)
これは敢えてプロダクトデザインという職業から離れる(違う職種を副業として取り入れる)という選択です。
周りの方を見ていると少なからずこの選択をする方がいます。
「逃げ」ではなく「攻め」のキャリア形成だと思います。少なからず僕の周りでこの選択をしている人達は滅茶苦茶優秀な人達です。
デザインとは関係ない分野で企業したり、デザインの分かるエンジニアとして重宝されたり、3Dツールの開発、フィギア造形師、商品企画室への異動などなど。
デザインの業務上、起業戦略や企画というアップストリームからエンジニアリングの法規対応、工場でのモノづくりという様なダウンストリームまで一通り経験できるので、実はデザイナーは他業種への転職がスムーズできるという強みもあります。
『デザイナーのスキル+α』という独自の強みをつくる為に数年間敢えて違う職業に移る人も結構多いと思います。
1万時間の仕事をするとその道のプロになれる=100人に1人の人材価値が身に付く。と言われています(フルタイムで働いておよそ5年間)
5年おきに職業を変えて3つの領域で100人に1人の人材価値を形成すると乗算されて1000000人に1人の人材になれる。すると一生仕事に困る事はない。←みたいな事を誰かが言ってました(笑
投資家
いつかはなりたいものですね^^;
資本主義は基本、資本を持ってる人勝ちの社会ですから。。。
最近は『ワーキングリッチ』の割合が増えているようですが、投資家・資産家は依然優位であると思います。
「デザイナーとして先見の目を持って成功した人は、投資家としても成功してる」という人はいるのでしょうか?チラホラ噂はあっても実情は分からないです^^;(でも必ずいると思う)
また、株式会社に勤めているインハウスデザイナーであれば、社会人の嗜みとしてファンダメンタル分析の基本や市場経済はどんなファクターで動くのか、などの情報を若いうちから仕入れておくと良いと思います。
コンセプトアーティスト
これは僕の趣味全開なやつですw
プロダクトデザイナーから映画やゲームのコンセプトデザイナーになる人もいますね。
(日本じゃ現状ほとんどいないですが・・・^^;)
『ブレードランナー』や『スタートレック』のハードウェアをデザインした巨匠シド・ミード氏が余りに有名↓
最近でいうと『トロン:レガシー』や『オブリビオン』で魅力的な乗り物のデザインをしたダニエル・サイモン氏が知名度高いですかね?
『コズミックモーターズ』のアート集の3Dレンダリングクオリティーに驚かされたデザイナーさんも多いはず↓
お二人とも「プロダクトデザイナー」出身です。
正確には「カーデザイナー」出身といった方がいいのかな?
(シドミード氏=元フォード。ダニエルサイモン氏=元フォルクスワーゲン)
現在は「エンターテイメントデザイン学科」など海外の大学で勉強した後に映画業界に就職する人が多いそうですね。
ぼくも「できる事ならば・・・」とは思うものの、30過ぎた身としては中々・・・もっと頑張らないとなぁ^^;
日本国内でみると「INEI」という会社があります↓
INEI代表 兼 コンセプトアーティスト富安健一郎さんも元デザイナーとして働いていたそうです。興味がある方はサイトを覗いてみて下さい。めっちゃワクワクするはずですよ^^
最後に

以上、ぼくが思いついたプロダクトデザイナーからのジョブチェンジが可能な選択肢です。まだまだありそうかも?思いついたら都度この記事に付け足しておきますね^^
可能性が無限大な若いデザイナーさんの参考に少しでもなれれば嬉しいです。
『boys be ambitious!』…青年よ大志を抱け!
の続きの言葉で締めて貰おうと思います。
(かなりキツイお言葉です。実際これ超難題^^;)
“Boys be ambitious ! Be ambitious not for money or selfish aggrandizement ,
not for that evanescent thing which men call fame . Be anbitious for the attainment of all that a man ought to be .”
訳すと、次のようになります。
青年よ、大志を抱け。
しかし、金を求める大志であってはならない。
利己心を求める大志であってはならない。
名声という、つかの間のものを求める大志であってはならない。
人間としてあるべき、すべてのものを求める大志を抱きたまえ。
By: William Smith Clark
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